「YouTubeもInstagramも、Wi-Fiで飛んでいるんでしょ?」——そう思っていませんか?
実は、あなたが今スマホで見ているその動画も、海外の友人に送ったそのメッセージも、ほぼ確実に海の底を走る1本のケーブルを通っています。衛星ではなく、宇宙でもなく、深海に静かに横たわる光ファイバーの束が、世界中の通信の約99%を担っているのです。
海底ケーブルが切断されたというニュースを耳にしたことがある方も多いでしょう。でも「そもそもなぜ海底なの?」「どうやって敷くの?」「切れたらどうなるの?」という疑問に、ちゃんと答えてくれる記事はなかなかありません。
この記事では、光ファイバー海底ケーブルの基本構造から敷設技術、日本の地政学的な位置づけ、GAFAや中国をめぐる覇権争いまで、一気通貫で解説します。読み終えたとき、あなたのスマホの画面の向こう側——深海の底に広がる「もう一つのインフラ」の全貌が見えてくるはずです。
光ファイバー海底ケーブルって、そもそも何者なの?
光ファイバー海底ケーブルとは、海底に敷設されて複数の国や大陸を結ぶ光通信ケーブルのことです。電気信号ではなく「光の信号」を使って情報を伝送するため、長距離でも劣化が少なく、超高速・大容量の通信が可能です。
現代社会において、国際インターネット通信・国際電話・金融取引データ・報道映像など、あらゆるデジタル情報がこのケーブルを経由しています。私たちが「ワイヤレスで繋がっている」と感じているスマホの通信も、基地局の先では光ファイバーに接続されており、海を越える瞬間には必ず海底ケーブルに乗り換えています。
海底ケーブルの基本構造——髪の毛より細いガラスが世界をつなぐ
光ファイバーそのものは、直径わずか0.125mm(約0.1ミリ)という、人間の髪の毛よりも細いガラスの糸です。この極細のガラス線の中を、光のパルス(点滅)として情報が伝わります。
しかしそのままでは当然、深海の水圧や漁網の引っ掛かりなどで即座に断線してしまいます。そこで実際の海底ケーブルは、光ファイバーをシリコンゲルで包み、その周囲をプラスチック、スチールワイヤー、銅の電力線、さらに外装のナイロン層で何重にも覆った、まるで鎧のような構造になっています。
浅い海域では直径が約70mm(腕ほどの太さ)にもなる「重装甲」タイプが使われ、水深の深い場所では圧力が均等にかかるため、軽くて細い無外装ケーブルが使われます。シンプルな光ファイバーが、海という過酷な環境に耐えるために、いくつもの工夫で守られているのです。
参考:https://cafe-dc.com/special/what-is-a-submarine-cable-subsea-fiber-explained/
衛星通信と何が違うの?なぜ海底ケーブルが選ばれるのか
「SpaceXのStarlinkがあるんだから、衛星でよくない?」と思う方もいるかもしれません。しかし通信容量と遅延(レイテンシ)という2点において、海底ケーブルは現時点で圧倒的な優位性を持っています。
静止軌道衛星(高度約36,000km)は電波が往復するだけで約0.5秒の遅延が発生します。これは金融取引やオンラインゲーム、リアルタイム映像配信において致命的です。一方、海底を這う光ファイバーは遅延が極めて小さく、例えば日米間(約1万km)でもおよそ0.06秒程度で通信が届きます。
また、最新の海底ケーブルシステムは1ファイバーペアあたり18Tbps(テラビット毎秒)以上の通信容量を持ちます。家庭用の光インターネット(最大1Gbps)と比べると、実に1万8,000倍以上のデータを一度に運ぶことができる計算です。
地球30周分!その規模感を数字で理解する
世界中の海底に敷設された光ファイバーケーブルの総延長は、現在約120万km以上に達します。地球の円周が約4万kmですから、単純計算で地球を30周以上できる長さです。ケーブルの本数も400本を超え、世界の主要国のほぼすべてが何らかの海底ケーブルネットワークに接続されています。

画像出典:総延長は地球30周分! 日本と世界の国際通信をつなぐ『光海底ケーブル』のヒミツ | KDDI社
太平洋を横断するケーブル1本だけで約1万km近くになるものもあり、その建設費用は1本あたり3億ドル(約450億円)にのぼると言われています。これほど巨大なインフラが、ほとんど人の目に触れることなく深海に静かに横たわっている——そのスケールの大きさに、まず驚かされます。
光信号はどうやって何千kmも届くの?技術の仕組みを解説
光は真空中では秒速30万kmで進みますが、ガラスの光ファイバー内では屈折率の影響で少し遅くなります。さらに、距離が伸びるにつれて光の信号は徐々に弱まります(これを「減衰」と言います)。1万km近い距離を一気通貫で信号を届けることは、何の工夫もなければ不可能です。では、どのようにしてその問題を解決しているのでしょうか。
光ファイバーの「減衰」問題をどう解決するか——海底中継器の役割
海底ケーブルには、およそ60〜100kmごとに「海底中継器」が取り付けられています。これは光信号を電気信号に変換せず、「光のまま増幅する」エルビウム添加光ファイバーアンプ(EDFA)と呼ばれる装置です。弱まった光信号を次々と増幅しながらリレーすることで、1万kmを超える距離でも鮮明な信号を届けることが可能になります。
太平洋を横断するケーブルには、200個近くの海底中継器が取り付けられているケースもあります。これらに電力を供給するための銅線も、光ファイバーと一体化してケーブル内に組み込まれており、両端の陸揚げ局から電力が供給されています。
1本のケーブルで何Tbps?大容量を実現するWDM技術
1本の光ファイバーで大量の情報を送れる秘密は、WDM(波長分割多重)技術にあります。これは、異なる「波長(色)」の光を同じ光ファイバーに同時に流すことで、何十〜何百チャンネル分もの信号を1本のファイバーに詰め込む技術です。
たとえば、1本の光ファイバーに80種類の異なる波長の光を同時に流せれば、単純計算で容量が80倍になります。さらに現代の海底ケーブルには複数の光ファイバーペアが束ねられているため、全体の伝送容量は非常に大きくなります。この技術のおかげで、動画ストリーミング、クラウドサービス、AIデータ転送といった増大し続けるトラフィック需要に対応できているのです。
水深によってケーブルの太さが変わる——知られざる設計の工夫
光ファイバー海底ケーブルは、1本のケーブルでも敷設する水深に応じて構造(太さ・装甲の強度)が段階的に変わります。
水深200m以浅の「浅海域」は、波の影響・漁網・船のアンカー・岩礁との摩擦など物理的なリスクが多いため、スチールワイヤーを何重にも巻いた重装甲の「外装ケーブル」を使います。一方、水深1,000mを超える深海では海流の動きが少なく、こうした外部リスクが激減するため、細くて軽い「無外装ケーブル」が使われます。ケーブルを軽くすることで、敷設コストを抑え、ケーブルシップが一度に運べる量を最大化できるのです。
どうやって海底に敷くの?ケーブルシップの知られざる仕事
光ファイバー海底ケーブルを敷設するのは、「ケーブルシップ」と呼ばれる特殊な船です。これは普通の貨物船ではなく、海底ケーブルの敷設・修理のためだけに設計された専用船で、世界でも数十隻程度しか存在しません。1本のケーブルを敷設するプロジェクトは、準備から完成まで数年がかりになることも珍しくない、壮大な土木工事です。
積み込みだけで1カ月——ケーブルシップの役割と敷設の流れ
ケーブルを海に沈める前に、まず陸上で必要な長さのケーブルを製造し、船に積み込む作業が必要です。数千〜1万km以上にわたるケーブルは非常に重く、積み込み作業だけで1カ月以上かかることもあります。
積み込みが完了したら、ケーブルシップはゆっくりと進みながら、船尾からケーブルをリールから解き放つように海底に降ろしていきます。あらかじめ設計された最適ルート(海底地形・漁業活動・他のケーブルとの交差などを考慮)に沿って、GPSで位置を確認しながら慎重に作業が進められます。
浅瀬は埋設、深海は這わせる——水深別の敷設方法
水深が浅い海岸線付近では、ケーブルをただ海底に置くだけでなく、「海底耕耘機(かいていこううんき)」と呼ばれる水中ロボットを使ってケーブルを海底の溝に埋め込みます。この「埋設」処理により、漁業活動や船のアンカーによる切断リスクを大幅に減らすことができます。
浅い場所ほど人間活動の影響を受けやすく、かつ陸地に近いためトラブルが発生した際の社会的影響も大きい——だからこそ、沿岸部での施工は特に念入りに行われます。深海部では物理的な外部リスクが少ないため、ケーブルは海底面を這わせるだけで十分です。
陸揚げとは何か?中継所の重要な役割
ケーブルを海から陸地に引き上げる作業を「陸揚げ(りくあげ)」と呼びます。沖合に停泊したケーブルシップから、ケーブルの先端に結び付けたロープを陸地まで引っ張り、陸揚げ局(ランディングステーション)に接続します。陸揚げ局は、海底ケーブルと国内の陸上通信網をつなぐ中継点であり、同時に電力供給やケーブルの監視・管理も担う重要な施設です。
日本では、千葉県南房総市にあるKDDIの「千倉海底線中継所」が代表的な陸揚げ局として知られています。ここが北米とアジアを結ぶ大圏航路の交差点に位置するため、複数の国際ケーブルが集中しています。
日本は海底ケーブルの要衝——日本と世界のつながりを地図で見る
島国である日本にとって、光ファイバー海底ケーブルは「唯一の国際通信手段」と言っても過言ではありません。日本列島は太平洋を挟んでアメリカと向かい合い、同時に東アジア・東南アジアへの玄関口でもあります。この地理的な位置が、日本を国際海底ケーブルネットワークの中心的なハブにしているのです。
太平洋ルートと日本の地政学的な位置づけ
地球の表面上で2点間の最短距離を「大圏航路(だいけんこうろ)」と呼びます。北米大陸(例えばロサンゼルス)から東アジア(上海や香港)へと向かう大圏航路を地図上で引くと、その経路は日本列島の沿岸をほぼ通ります。
これは地球の球面幾何学的な必然です。「米国からアジアへのケーブルを最短で引こうとすると、自然と日本を経由することになる」のです。この地の利を活かして、日本にはKDDI・NTT・ソフトバンクなど複数の通信事業者が海底ケーブルのランディングポイントを持ち、国際通信のハブとして機能しています。
KDDIやNTTが中継所を持つ理由——千葉・沖縄が重要拠点の訳
KDDIが千葉県南房総市の千倉に海底線中継所を持つのは、北米とアジアへの最短アクセス点にあたるからです。また、KDDIもNTTも沖縄に重要な中継所を持っています。沖縄は東南アジアや東アジアへの距離が短く、台湾・フィリピン・香港方面への光ファイバー海底ケーブルを陸揚げするのに最適な場所です。
さらに、KDDIは2014年、大規模地震・津波のリスクに備えて海抜28mの高台に「千倉第二海底線中継所」を設立しています。東日本大震災の経験を踏まえ、「通信の命綱」を守るためのフィジカルなリスク対策が着実に進められているのです。
参考:https://time-space.kddi.com/au-kddi/20191226/2802.html
日本を「スルー」するケーブルが増えている?最近の動向
近年、国際海底ケーブルの業界で気になる動向が出てきています。太平洋を横断するケーブルの中に、従来の「米国→日本→東アジア」というルートをとらず、日本を経由せずに米国から直接東アジアに繋がるルートを採用するものが現れてきているのです。
代表例として「PLCN(Pacific Light Cable Network)」「HKA」などが挙げられます。背景には海底の地形・漁業補償コスト・各国の政治的思惑など複合的な要因があります。日本が国際通信ハブとしての地位を維持するためには、技術投資と安全保障上の戦略が不可欠です。
もし海底ケーブルが切れたらどうなる?リスクと修復の現実
どれほど精密に設計・施工された海底ケーブルでも、故障はゼロにはなりません。しかし「切れたら世界の通信が止まる」というわけではなく、そこには巧みな冗長化設計とプロの修復チームが存在します。
故障の原因トップ3——漁網・地震・船のアンカー
海底ケーブルの故障原因として最も多いのが、底引き網などの漁具への引っ掛かりです。次いで多いのが、船舶のアンカー(錨)投下による切断。水深が浅い大陸棚付近では、漁船や貨物船が投下したアンカーがケーブルに直撃することがあります。
3番目の原因が地震・地滑りです。大きな地震が発生すると、海底地形が変化し、複数のケーブルが複数の地点で同時に切断されることもあります。故障の約70%は水深200m以浅の沿岸部で発生しており、これが浅海域での重装甲ケーブル・埋設施工が不可欠な理由です。
切れた場所をどうやって特定するのか——海底中継器の逆活用
「深海のどこで切れたか」をどうやって特定するのか——答えは、海底中継器そのものを利用することです。ケーブル管理センターから信号を送り出し、どこの中継器まで信号が届いているかを確認すれば、「何番目の中継器と何番目の中継器の間に障害がある」と絞り込めます。
さらに、OTDR(光時間領域反射測定)と呼ばれる技術を使って、光パルスを送り込み、反射が返ってくるまでの時間から距離を計算することで、数km単位の精度で障害箇所を特定できます。
特定が完了したら、その海域に最も近いケーブルシップを派遣し、専用の水中ロボット(ROV)でケーブルを引き上げ、船上で修理・接続作業を行います。
参考:https://time-space.kddi.com/au-kddi/20191226/2802.html
修復にかかる時間とコスト——東日本大震災のケース
ケーブル修復にかかる時間は、障害の規模・位置・気象条件によって大きく異なりますが、単純な1カ所の切断でも2週間〜1カ月程度かかるのが一般的です。
東日本大震災(2011年3月)では、太平洋側の海底ケーブルが広い範囲で損傷し、20カ所以上の修復作業を4カ月以上かけて完了させました。
ケーブルシップの1日あたりのチャーター費用は数百万〜数千万円規模にのぼり、修復コストも1件あたり数億円に達することがあります。それでも世界の通信を守るために、24時間体制の監視センターとケーブルシップが常に待機し続けているのです。
GAFAや中国が海底ケーブルを「買いに来た」——地政学リスクの最前線
かつて海底ケーブルは「大手通信事業者が共同出資するもの」でした。しかし今、その常識が大きく変わっています。GoogleやMeta(旧Facebook)、Amazonといったテクノロジー企業が自前の海底ケーブルを持ち始め、さらに中国企業の台頭と米国の警戒が交差する——光ファイバー海底ケーブルは今、デジタル経済と地政学が衝突する最前線になっています。
なぜGoogleやMetaが自前の海底ケーブルを持ち始めたのか
GAFAのようなプラットフォーム企業が膨大なトラフィックを世界中に送り届けるためには、従来の「通信会社から帯域を借りる」モデルでは限界があります。GoogleがYouTubeのHD・4K動画を数十億人に届けるために必要な回線容量は、到底、共用の商業ケーブルの割り当て分では足りません。
そこでGoogleは、日本〜米国〜カナダを結ぶ「Topaz」、米国〜ヨーロッパを結ぶ「Grace Hopper」など、複数の独自海底ケーブルを展開しています。MetaはMicrosoftと共同で大西洋横断ケーブル「MAREA」を完成させたほか、独自のケーブル計画も進めています。こうした「プライベート海底ケーブル」の増加は、グローバルなインターネット地図を大きく塗り替えています。
中国の台頭と米国の警戒——海底ケーブルをめぐる覇権争い
アジア太平洋地域の海底ケーブル市場では、中国の通信企業・建設企業の台頭が顕著です。かつてはアルカテル(フランス)・SubCom(米国)・NEC(日本)の3社がほぼ独占していた建設・敷設市場に、中国企業が低コストを武器に急速に参入してきました。
これに対し、米国はセキュリティ上の懸念を表明しています。中国の通信機器や海底ケーブルに盗聴用の抜け穴が仕込まれるリスクがあるとして、中国企業が関与するケーブルへの対応を見直す動きや、同盟国との「クリーンケーブル」構想が浮上しています。
海底ケーブルはもはや純粋な通信インフラではなく、デジタル主権と国家安全保障をめぐる地政学的な争点になっているのです。
海底ケーブルは「諜報活動の標的」になりうるのか
2013年のスノーデン文書の暴露により、英米の諜報機関が海底ケーブルに流れる通信データを傍受していたとされることが明らかになりました。
特にイギリスのGCHQが主導した作戦では、英国に陸揚げされた複数の光ファイバー海底ケーブルを通じてデータを収集していたとされています。
物理的な盗聴以外にも、特定の国家が海底ケーブルを意図的に切断する「ハイブリッド戦争」のリスクも、専門家の間で議論されています。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、北欧地域の海底ケーブルで不審な切断事案が相次いで報告されており、各国政府はケーブル防護を安全保障政策の一環として位置づけ始めています。
まとめ
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。「光ファイバー海底ケーブル」というテーマは、一見すると専門家向けの技術的な話に聞こえますが、実はスマホ一台使う私たちの日常生活と直結した、極めてリアルなインフラの話です。
光ファイバー海底ケーブルが「現代インフラの大動脈」である理由
光ファイバー海底ケーブルが現代インフラの大動脈と呼ばれる理由は、一言でまとめられます——それは「替えが効かないから」です。
衛星通信は普及が進んでいますが、大容量・低遅延という点で光ファイバー海底ケーブルの代替にはなりません。金融市場のリアルタイム取引、大規模クラウドサービス、AIのデータ転送——これらすべてが、深海に横たわるガラスの糸に依存しています。
そして今後、AIの普及により世界のデータトラフィックはさらに急増することが確実です。2030年代には現在の10倍以上のデータ量が世界を飛び交うと予測されており、新たな海底ケーブルの建設プロジェクトが世界各地で進行しています。
光ファイバー海底ケーブルは「過去のインフラ」ではなく、今まさに拡張を続ける「現在進行形のインフラ」なのです。
私たちのスマホの向こうにある、海の底の現実
あなたが今夜SNSを開くとき、深海を通ってきたデータがあなたのスクリーンを照らしています。総延長120万km超、400本以上のケーブルが深海に静かに横たわり、地球上の人々を繋ぎ続けている——そのことを頭のどこかに置いておくと、デジタルの世界が少し違って見えてくるかもしれません。
私たちがインターネットを「当たり前」のように使えるのは、見えないところで膨大な工学的知恵と、何百人ものエンジニアの努力が積み重なっているからです。光ファイバー海底ケーブルは、デジタル文明を文字通り「底」から支えている、静かな英雄です。
Ken’s eye
- 光ファイバー海底ケーブルは世界の国際通信の約99%を担う基幹インフラであり、髪の毛より細いガラスの光ファイバーを何重もの保護層で覆った構造を持ち、衛星通信を大きく上回る大容量・低遅延通信を実現していると考えられる
- ケーブルは60〜100kmごとに設置された海底中継器(光増幅器)によって信号を増幅しながらリレーし、WDM技術により1本のファイバーで複数の波長を同時に伝送することで、1ファイバーペアあたり18Tbps以上という超大容量を実現していると考えられる
- 敷設はケーブルシップによる精密な作業で、水深の浅い沿岸部では埋設・重装甲ケーブル、深海では軽量の無外装ケーブルを使い分けており、積み込みから陸揚げまで数年がかりのプロジェクトになることも珍しくないと考えられる
- 故障原因の多くは漁網・船のアンカー・地震などであり、海底中継器を利用した障害位置特定技術と専任のケーブルシップ・修復チームによって対応が行われるが、東日本大震災のように大規模災害では修復に4カ月以上を要することもあると考えられる
- 近年はGoogleやMetaなどのテクノロジー企業が独自の海底ケーブルを積極的に展開し、中国企業の台頭に対する米国の安全保障上の警戒も高まるなど、光ファイバー海底ケーブルはデジタル覇権をめぐる地政学的な争点として新たな局面を迎えていると考えられる

