海洋テック・データ

オーシャンアイズ

BLUE ECONOMISTA INTELLIGENCE
企業HPを見る ↗ UPDATED 2026.06.15
B-TIDE 5軸スコア
Company Overview
  • 拠点京都府京都市
  • 規模1-10
  • 最終ラウンドシード(京都大学イノベーションキャピタル等)
  • セクター海洋テック・データ
  • エコシステム形成力:自治体、漁協、大手企業との連携深さ。
  • 規制・制度適応力:法規制、国際基準への適合とルールメイキングへの関与。
  • データ優位性:独自の海洋データ保有量、アルゴリズムの参入障壁。
  • サステナビリティ貢献度:環境保全、生物多様性への具体的寄与。
  • バリューチェーン牽引力:水産流通やエネルギー供給網における不可欠性。
Market Position

市場ポジション

衛星リモートセンシングとAIを掛け合わせた海況・漁場予測領域における国内有数の京大発スタートアップであり、漁業者向けのBtoC的サービスから水産会社・自治体・研究機関向けのBtoB受託まで幅広くカバーする。国内の競合としてはNTTドコモ・KDDI系のスマート水産事業、ライトハウスの「ISANA」、ウミトロンの養殖向けAIなどが挙げられるが、オーシャンアイズは「漁場予測」と「海洋物理モデルの高度化」に特化している点でポジショニングが明確に異なる。世界の水産養殖・漁業ICT市場は2030年に数十億ドル規模への成長が見込まれ、特にアジア太平洋地域が牽引役となる。同社は国内のカツオ・マグロ・サンマ漁船向けに加え、インドネシア・東南アジア向けにOEViewブランドで展開し、衛星×AIによるグローバル海洋データプラットフォーマーとしての立ち位置を確立しつつある。

Business Model

ビジネスモデル

収益源は大きく三本柱で構成される。第一に漁業者向けSaaS「漁場ナビ」によるサブスクリプション収入で、月額課金型で漁協・個船双方に展開。第二に水産研究機関・商社・エネルギー企業向けの受託予測サービスSEAoMEで、海流・水温・波浪等のカスタム予測をプロジェクト単位で提供する高単価モデル。第三に海外漁業者・政府向けのOEViewによるライセンス/プラットフォーム収入である。顧客セグメントは沿岸漁業者から遠洋漁業会社、洋上風力・海運・防衛関連まで広がりつつあり、JAMSTEC・京都大学・JAXA等との研究連携によりデータ取得コストと開発コストを抑制している。スケール戦略としては、国内漁協ネットワークを通じた水平展開と、ASEAN市場への現地パートナー経由でのライセンス展開を併進させ、データ蓄積による予測精度向上を競争力の源泉とする「データフライホイール」型モデルを志向している。

Competitive Advantage

競争優位性

最大の技術的差別化は、気象衛星ひまわり等の光学衛星データにおける雲被覆による欠損領域を、深層学習(特に時空間補完モデル)で推定・補完する独自アルゴリズムにある。これにより従来は数日遅れだった海面水温マップを準リアルタイムで提供可能とし、漁場到達時間の短縮と燃料コスト削減に直結する。京都大学とJAMSTECで培われた海洋物理モデル(ROMS等の数値モデル)とAIを組み合わせたハイブリッド手法は、純粋なデータ駆動型では到達できない物理整合性を持つ予測を実現し、模倣困難性が高い。参入障壁としては、(1)海洋物理博士人材の希少性、(2)長期の現場漁業者との信頼関係に基づくフィードバックループ、(3)アジア各国の衛星データ・漁業データへのアクセス権、が挙げられる。さらに、利用漁船が増えるほど操業実績データが蓄積し予測精度が高まるネットワーク効果が働き、一度導入された漁協・水産会社にとってのスイッチングコストは年々高まる構造にある。

Ken(BLUE ECONOMISTA 編集長)
Ken's Eye

編集長の視点

オーシャンアイズの核心は「雲で見えない海を推定する」AIにあり、衛星の欠損を深層学習で埋めて漁師のタブレットに準リアルタイムで届ける一点突破の設計思想は、燃料浪費と乱獲を同時に減らすという点で極めて興味深い。海洋物理の物理モデルとAIを融合させるアプローチは、純粋なテック企業には模倣困難な「京大・JAMSTEC由来のサイエンスの厚み」に支えられており、ここがこの会社の最大の堀だと私は確信している。論点はやはり国内漁業の構造的縮小と漁業者の支払い能力であり、国内SaaSだけでは事業の天井が見えてしまうのは否めない。だからこそインドネシア等の漁業大国へ予測技術を輸出するOEViewの展開は的確で、アジア漁業データ基盤の“頭脳”を握る芽があるという点が特筆すべきだ。さらに洋上風力・海運・防衛といった非漁業ドメインへの海況予測の横展開余地は見逃せない。海のデジタルツインを誰が握るかという長期テーマにおいて、同社が日本発で世界に問える数少ないプレイヤーであることに私は強く期待したい。ブルーエコノミーの中核インフラ企業に化ける潜在力を秘めた一社である。

Ken BLUE ECONOMISTA 編集長

本ページはBLUE ECONOMISTA独自の分析に基づくものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。最終的な意思決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。