SEA
海事・海運テック

Searoutes

BLUE ECONOMISTA INTELLIGENCE
企業HPを見る ↗ UPDATED 2026.06.15
B-TIDE 5軸スコア
Company Overview
  • 拠点フランス(マルセイユ)
  • 規模11-50
  • 最終ラウンドシード〜シリーズA
  • セクター海事・海運テック
  • エコシステム形成力:自治体、漁協、大手企業との連携深さ。
  • 規制・制度適応力:法規制、国際基準への適合とルールメイキングへの関与。
  • データ優位性:独自の海洋データ保有量、アルゴリズムの参入障壁。
  • サステナビリティ貢献度:環境保全、生物多様性への具体的寄与。
  • バリューチェーン牽引力:水産流通やエネルギー供給網における不可欠性。
Market Position

市場ポジション

海上輸送のCO2排出量算定(GLEC Framework準拠、ISO 14083対応)に特化したフランス発のクライメート・ロジスティクスAPIプレイヤー。グローバルな競合としては、米Searates(DP World傘下)、独Shipzero、Pledge、Sifted、EcoTransIT World(DHL系のVerwaltungsgesellschaft)、Smart Freight Centre認証を取得したCarbonChain等が存在し、ERPやTMS統合層ではproject44やFourKitesといった可視化大手とも接点を持つ。荷主側ではUnilever、CMA CGM、Geodisといった大手と協業実績があり、欧州を中心に北米・アジアへも展開を拡げている。物流向け排出量算定SaaS市場は2030年までに数十億ドル規模へ拡大すると見られ、Searoutesは実船AISデータとシップ・スペシフィックな燃費モデルを掛け合わせた“一貨物単位の粒度”で差別化する。

Business Model

ビジネスモデル

コアはRESTful APIによる従量課金型のデータ提供モデルで、(1)最適海上ルート計算API、(2)CO2/GHG排出量算定API、(3)Distance/ETA API、(4)Multimodal(海・陸・空・鉄道)排出量APIの4本柱で構成される。顧客セグメントは大手荷主(消費財・アパレル・自動車)、デジタルフォワーダー、4PL、TMS/ERPベンダー、サステナビリティ報告SaaS、海運会社のサステナ部門と幅広く、ボリュームディスカウントとエンタープライズ契約のハイブリッド価格構造を採る。パートナーシップではSmart Freight Centre、CDP、GLECとの標準策定協働に加え、TMS/報告SaaSベンダーへのOEM供給で“ホワイトラベル排出量エンジン”としての浸透を狙う。スケール戦略はAPI-firstを徹底し、自社UIへの投資を抑えつつ既存の物流ITスタックの裏側に組み込まれる“インフラ化”を志向している。

Competitive Advantage

競争優位性

最大の優位性は、AIS実船動静データと船型別の燃費・積載率モデル、気象・海象データを統合した独自エンジンによる“actual voyage based”の精緻な排出量算定にある。多くの競合がアベレージ係数ベースで算定する中、Searoutesは個船レベルで航路・速力・喫水を反映し、GLEC Frameworkだけでなく将来のISO 14083、SBTi物流ガイダンス、EU ETS海運拡大に合わせた数値出力に対応する。参入障壁としては(1)長年蓄積されたAISヒストリカルデータと航路グラフ、(2)Smart Freight Centre認証取得という第三者保証、(3)主要TMSへのAPI統合実績によるスイッチングコストが挙げられる。さらに、荷主→フォワーダー→キャリアという三層に同一データが流通するほどネットワーク効果が働き、業界共通の“真実の数値”として参照される構造が生まれる。API課金モデルゆえに限界費用が低く、規模拡大に伴うグロスマージン改善余地も大きい。

Ken(BLUE ECONOMISTA 編集長)
Ken's Eye

編集長の視点

Searoutesが売っているのは「貨物1個あたりのCO2」という、これから義務化される数字そのものだ。荷主のスコープ3開示、CSRD、SECクライメート規則、そして海運のEU ETS組み込みが連鎖する中、輸送排出を実船データで弾けるAPIは“あったら便利”から“なければ報告できない”インフラへと急速に変質しつつある点が極めて興味深い。論点は明確で、EcoTransITやCarbonChain、さらにはproject44のような可視化大手との競合、そして遅かれ早かれ訪れるであろう海運メジャーや大手ERPベンダーによる買収観測は見逃せない。だが筆者の見立てでは、勝負を決めるのは精度と標準化への食い込み度であり、Smart Freight CentreやGLECといった標準策定の現場に身を置く同社のポジションは決して小さくないと思われる。API-firstで自社ブランドを前面に出さず物流ITの裏側に潜り込む戦略は、地味だが本質的だ。物流脱炭素の“計測レイヤー”を押さえる小さくて強い存在として、独立を保ったままデファクトを取りに行けるか、あるいは戦略的買収で一気にスケールするか——どちらの道に進んでも、計測の覇権争いにおいて同社の名前は必ず残ると確信している。

Ken BLUE ECONOMISTA 編集長

本ページはBLUE ECONOMISTA独自の分析に基づくものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。最終的な意思決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。